黒にんにくと白にんにくの違いとはなんでしょう?色だけではなく成分も味も手間も価格もすべて違います。そして使い道も違います。今回は黒にんにくと白にんにくの差について考察しました。
黒にんにくと白にんにくの成分差
黒にんにくは種から育てて収穫すると思っている方が結構いるようですが、普通の生のにんにくを加熱熟成して作ります。
岡崎商店の純黒にんにくの場合はある温度で40日間加熱熟成して作っているそうです。温度や湿度など詳細は企業秘密ですが、作ろうと思えば一般家庭でも作ることができます。
また黒にんにくを作る機械「黒にんにくメーカー」なるものもいろいろ市販されていますので比較的簡単に作れます。
しかし、なぜわざわざ手間をかけて黒にんにくを作るのでしょう?
それは黒にんにくにすることでにんにくの有効成分が大幅にアップするからです。
主にアップする成分は純黒にんにくを例にすると下記の表のようになります。
成分 | 純黒にんにく | にんにく |
総ポリフェノール | 215mg | 34mg |
S-アリルシステイン | 16mg | 1mg |
アルギニン | 388.00mg | 110.33mg |
アスパラギン酸 | 14.30mg | 7.89mg |
アラニン | 115.00mg | 20.43mg |
バリン | 29.20mg | 7.05mg |
フェニルアラニン | 2.70m | 0.40mg |
イソロイシン | 15.03mg | 1.51mg |
ロイシン | 18.20mg | 1.82mg |
プロリン | 57.20mg | 8.22mg |
アリイン | 68mg | 518mg |
アリシン | No Data | 17mg |
グルタミン酸 | 11.33mg | 21.73mg |
アスパラギン | 8.82mg | 47.00mg |
ヒスチジン | 2.85mg | 103.70mg |
mg/100g |
この表を見ると増えている成分と少なくなっている成分があります。
S-アリルシステイン、総ポリフェノール、アルギニン、アスパラギン酸などの増えている成分は生活習慣病の予防や対策に強い効果があることが広く知られています。
また、美容、ダイエット効果や、老化予防、認知症予防、便秘改善、疲労回復など人間の健康に関するほぼすべてのことに効果が期待できる成分が増えているのです。
反面、減っている成分でアリイン、グルタミン酸、アスパラギン、ヒスチジンなどがありますが、これらは熟成することで別の成分に変わっていると思われます。
にんにく特有の臭いはアリインが変化したアリシンですが、黒にんにくにはほとんど含まれていません。
そのため、黒にんにくはにんにくが苦手な方もすんなり食べることができます。
アスパラギン酸とアスパラギンは名前が似ておるが別物じゃ!どちらも非必須アミノ酸じゃ!
あのー、必須アミノ酸と非必須アミノ酸ってどう違うのですか?
お、なかなか良い質問じゃ!まずアミノ酸はたんぱく質を構成する成分じゃ!
必須アミノ酸とは体内で必要な量が合成できない為、食べ物から摂取しなければならないアミノ酸じゃ!対して非必須アミノ酸とは体内で補うことができるアミノ酸じゃ!
しかし、非必須アミノ酸といえども、体調が悪い時は必要量ができなくなる時もあるので、食べ物から補充するすることが必要なのじゃ!
料理に使うなら白にんにく
にんにくは昔から健康的な薬効野菜として、また調味料としても有名です。
にんにく特有の臭いが肉の臭みを消し味付けに大きく関わってくるのですが、黒にんにくにはにんにくの香りがほとんどありません。
ですから、調味料として使うには普通のにんにくのほうが優れていると考えます。
中華料理やイタリア料理などにんにくをつかったレシピが多いのも、このにんにく特有の香りがあればこそです。
それに生のにんにくは油と相性が良く、臭いの元アリシンが変化してアホエンというS-アリルシステインに匹敵する成分に変化しますから、生のにんにくは調理に使うのが栄養面でも一番良いのです。
しかし、生で食べ過ぎると時々お腹を壊すことがあります。それは、アリシンの殺菌力が強すぎるからです。
白にんにくは炒めものなど調理に使い、生で食べるときは食べ過ぎに注意しましょう。
健康のためなら黒にんにく
にんにくの臭いが無いため調理には向きませんが、健康に良い成分が多く含まれているのは黒にんにくのほうです。
特に近年研究によって判明されてきたS-アリルシステインは様々な病気に大きな効果があることがわかってきました。
S-アリルシステインとはにんにくにしか含まれていない成分で、生のにんにくにはごく少量しかありませんが、加熱して黒にんにくになることで大幅に増加します。
S-アリルシステインの効果はたくさんありますが、主なものだけでも
抗ガン作用、抗酸化作用、高血圧改善、悪玉コレステロール除去、心臓疾患予防、認知症予防といったほとんどの生活習慣病の予防に効果があることが研究でわかってきました。
そして、S-アリルシステインは水溶性で胃腸からすぐ吸収されるため即効性があります。
また、ポリフェノールについてもS-アリルシステイン同様に生活習慣病の対策に効果的な成分であることは、すでに広く知られていると思いますが、普通のにんにくに比べて数倍も多くなっています。
ほかにも美容、アンチエイジング効果や、便秘改善、冷え性改善などの効果が大きいことが挙げられます。
黒にんにくは調理に使うのではなく、トッピングの食材で使うことをお勧めします。
そのまま食べても良いのですが、カレーにスライスして入れたり、サラダに入れたりすることで飽きずに食べられると思います。
まとめ
黒にんにくと普通の白にんにくはどちらもいい点があります。どちらかを選ぶというのではなく、黒にんにく、白にんにくどちらも目的に応じて使ってもらえたら一番いいと思います。